それぞれの想いは伝わっていますか?

見えているものが全てではない

このブログでもたびたび紹介させていただいている「下町ロケット」佃製作所という下町の中小企業が大企業やライバルに立ち向かうドラマです。

下町ロケット2では、神田正輝さん演じる的場取締役がと登場します。下請けとの契約を突然打ち切ったり、事業計画を横取りしたり、ドラマの中では完全な悪役です。その的場取締役は最後、下請け法違反を主導していたとして会社を追われます。

勧善懲悪を望む多くの視聴者はこのことにスッキリしたでしょう。しかし、的場取締役は会社を追われる際、こんな言葉を残します。

「帝国重工の力が衰えれば、下請けを養う事すらできなくなるんだ。そうなった時、誰がどうやってこの国を救う。勝つしかないんだ。帝国重工は勝たなければならないんだ」

完全な悪役だった彼にも彼の想いがあり、その想いをもとに行動してきたのです。

ドラマの中では悪役であり、失脚しました。しかし、彼の考え方はすべてが間違っているわけではありません。徹底的なコストカットも時には会社を経営するには大切なマインドでもあります。

表面的に見える過激なほどのその行為と、心の中で考えていることはズレているということです。そして、ドラマの中でその想いを知っている人は一人もいませんでした。

現実の経営者と従業員も想いが伝わっていない

私はこれまでに仕事を通じて数十名の経営者と話をしてきました。私のいる業界は従業員10名程度の零細企業が多く集まっています。それぞれがメーカーの下請け、孫請けという立場です。

私も一人の経営者として、社長やメーカーの部署の長などと話す機会があります。その一方で現場では、一人のエンジニアとしてメーカーの社員や下請け会社の従業員と同じ立場で働くこともあります。

それゆえ、経営側と従業員側という両方の立場である私は双方の考えていることや愚痴、仕事への想いを聞いてきました。

そこで感じたのは、双方の想いが伝わっていないということです。想いが伝わっていないために、相手のやり方考え方をただ否定し合うということが起こっています。

それぞれがそれぞれの立場で考え行動している

だいたい、初めに話題になるのは愚痴です。現場では、社長や上司が言い出したことへの批判です。

「社長は現場を何にもわかっていない!」「会社が言うことはいつもカッコ良いことばかり!」

一方、社長の方は「あいつら、会社のことを考えていない!」「先のことまで考えていない!」

「もう少し、営業上のことも考えてくれれば」ということを話し始めます。

こうして聞くと、お互いが勝手なことを言っていると感じるかもしれません。そもそも、経営側と従業員側の利害関係は相反するものです。しかし、それぞれが仕事に意欲がないというわけでも、従業員を大切にしていないわけでもありません。ほとんどの人が、しばらく愚痴を言ったのち、彼らは前向きな考えを言い始めます。

従業員側は、お客さんを大切にすることが大事、若い部下がもう少しやる気になるようにしてやらないとなど、会社が良くなっていくという考えを語り始めます。

一方、経営者側である社長は、従業員のこれからのためにも、従業員がもっと楽できるためにもということを語り始めます。

お互いが、心の中では相手の立場を理解しており、お互いがより会社が良くなるようにという考えをもっているのです。しかし、その気持ちが伝わっていないのです。

お互いが相手の悪いところにだけ目が向いています。批判が悪いわけではありません。批判が出るのはそれぞれの立場で自分が大切にしていることがある証拠です。

想いに目を向け、目標を同じくすれば、批判は建設的なものとなり、現実や組織をより良くするものになります。

これは、経営者と労働者の間だけで起こっていることではありません。従業員同士でも同じです。それぞれの想いが伝わらす、お互いが誤解をしあい関係を悪くしているという現実があります。

なぜそれをするのかを伝えていない

行動や言動、意見の違いにだけに目が向けば、こういったすれ違いが起こります。そうならないためには、それぞれの想いをちゃんと伝えることが大切です。そのためには、お互いの想いを話す場を作る必要があります。

しかし、いったんすれ違った関係になってしまえば、場を作るのも難しくその想いはなかなか受け入れられなくなってしまいます。

大切なのは日頃から「相手のことを考えている」ということを伝えることです。何故それをするのか。相手にどんなメリットがあるのかということを伝えることを心がけてください。